勇者とその娘
妻がまだ幼かった頃、パパさんと夜景が楽しめる東京湾の遊覧船に乗った事があるらしい。今で言うところのナイトクルージングだ。しかし、当時はそんなおしゃれなものではなかったようだ。ペアチケットをどこからか手に入れたのだが、ママさんは船酔いするので妻が同行したらしい。
妻はワクワクして朝食も昼食もあまり食べれず、夕方、大きくてきれいな船を見て、驚いたそうだ。うーん、この頃は純粋だったんだなぁ・・。
船の中には、たくさんの人々が乗り込んでいたらしい。フロアー全体がイベント会場になっていたらしく、楽団が楽しそうに軽快な音楽を演奏し、その周りに軽食やアルコール類や飲料水などのお店が並んでおり、中央ではダンスが踊れるようになっていたらしい。イスやテーブルは一つも無く、客は全員、立っていたそうだ。イベントは盛況で、みんなワイワイと楽団の生演奏の中、盛り上がっていたという。
妻はパパさんの側に、ずっと引っ付いていたそうだ。パパさんはイベント会場のフロアーと海が見えるデッキを三十分おきぐらいに、行ったり来たりしていたそうだ。その日は晴れで、東京湾の夜景もきれいで、船は快調にクルージングを行い、妻は初めて乗った大きな船が時折あげる水しぶきも珍しく、面白かったそうだ。だが、パパさんは少し渋い顔をしていたらしい・・・。
二時間ほどで終わった船のクルージングのあと、すぐパパさんは妻を連れて、電車を使って家に帰った。
「どうだった? 遊覧船、楽しかった?」ママさんが妻に聞いた。
「楽しかったよ。でも、お腹空いた!」妻の答えは明るかった。
「えっ? 何で、お腹空いてるの? 何食べたの?」ママさんは少し困惑した。
「何にも食べてないし、何にも飲んでないよ。ねぇ、パパ!」
ママさんは驚いた。石化はしなかったらしいが、一歩手前だっただろう。
「あんた! どういうことなの? 何で何も食べてないの?」ママさんはパパさんに詰め寄った。
「・・・買いたくなかったんだよ。高いんだよ・・・焼きそばが一人前、千円するんだ・・・他の食べ物も飲み物も、普通の値段じゃないよ・・・オレだってビール飲むのやめたんだ。・・・あんな商法にはオレは引っかからないよ。まったく客をバカにしてるよ・・・」パパさんはあさってを向いて怒っていた。
「・・・だからって・・・ジュースぐらい飲ませたって・・・せっかく行ったんだから。それに、タダで手に入れたチケットでしょ。少しぐらいお金かかってもいいじゃない・・・まったく、あんたって人は・・・ブツブツ」しばらくパパさんの行動を責めたらしいが、パパさんは勇者だ。一度決めたらとことん貫く。
ひととおりママさんの文句を聞いた後、妻とパパさんは近所のラーメン屋さんに行き、食事をとったらしい。そのときのラーメンの味は格別美味しかったと妻は言っていた。そりゃそうだろう。飲まず食わずだったんだから・・・。
再び、家に帰ると話を聞きつけたおばあちゃんが、パパさんに詰め寄ったという。
「何で、何にも食べさせなかったんだい。かわいそうだろう・・・せっかく大きな船に乗ってきたのに・・・なんてことするんだい」
パパさんは無言で、居間に座り、ビールを飲み始めたらしい。そのあとも、ママさんとおばあちゃんから色々言われたらしいが、パパさんは平然としていたらしい。当の妻が何も文句を言わず、笑っていたというのが不思議だ・・・。
パパさんはビールを飲んで気分が良くなったのか、ぼそっと呟いたという。
「大丈夫だよ。おばあちゃん、この子は勇者の子なんだから、一食ぐらい抜いたって平気なんだよ」と・・・。
船と言えば、昔、スカンジナビア号に妻と泊まったことがある。わざとじゃないと思うが、沈んじゃうなんて・・。うー・・何か、寂しいなぁー。あそこのナポリタンスパゲティーは絶品だったんだが!
クイーンエリザベス2
妻はワクワクして朝食も昼食もあまり食べれず、夕方、大きくてきれいな船を見て、驚いたそうだ。うーん、この頃は純粋だったんだなぁ・・。
船の中には、たくさんの人々が乗り込んでいたらしい。フロアー全体がイベント会場になっていたらしく、楽団が楽しそうに軽快な音楽を演奏し、その周りに軽食やアルコール類や飲料水などのお店が並んでおり、中央ではダンスが踊れるようになっていたらしい。イスやテーブルは一つも無く、客は全員、立っていたそうだ。イベントは盛況で、みんなワイワイと楽団の生演奏の中、盛り上がっていたという。
妻はパパさんの側に、ずっと引っ付いていたそうだ。パパさんはイベント会場のフロアーと海が見えるデッキを三十分おきぐらいに、行ったり来たりしていたそうだ。その日は晴れで、東京湾の夜景もきれいで、船は快調にクルージングを行い、妻は初めて乗った大きな船が時折あげる水しぶきも珍しく、面白かったそうだ。だが、パパさんは少し渋い顔をしていたらしい・・・。
二時間ほどで終わった船のクルージングのあと、すぐパパさんは妻を連れて、電車を使って家に帰った。
「どうだった? 遊覧船、楽しかった?」ママさんが妻に聞いた。
「楽しかったよ。でも、お腹空いた!」妻の答えは明るかった。
「えっ? 何で、お腹空いてるの? 何食べたの?」ママさんは少し困惑した。
「何にも食べてないし、何にも飲んでないよ。ねぇ、パパ!」
ママさんは驚いた。石化はしなかったらしいが、一歩手前だっただろう。
「あんた! どういうことなの? 何で何も食べてないの?」ママさんはパパさんに詰め寄った。
「・・・買いたくなかったんだよ。高いんだよ・・・焼きそばが一人前、千円するんだ・・・他の食べ物も飲み物も、普通の値段じゃないよ・・・オレだってビール飲むのやめたんだ。・・・あんな商法にはオレは引っかからないよ。まったく客をバカにしてるよ・・・」パパさんはあさってを向いて怒っていた。
「・・・だからって・・・ジュースぐらい飲ませたって・・・せっかく行ったんだから。それに、タダで手に入れたチケットでしょ。少しぐらいお金かかってもいいじゃない・・・まったく、あんたって人は・・・ブツブツ」しばらくパパさんの行動を責めたらしいが、パパさんは勇者だ。一度決めたらとことん貫く。
ひととおりママさんの文句を聞いた後、妻とパパさんは近所のラーメン屋さんに行き、食事をとったらしい。そのときのラーメンの味は格別美味しかったと妻は言っていた。そりゃそうだろう。飲まず食わずだったんだから・・・。
再び、家に帰ると話を聞きつけたおばあちゃんが、パパさんに詰め寄ったという。
「何で、何にも食べさせなかったんだい。かわいそうだろう・・・せっかく大きな船に乗ってきたのに・・・なんてことするんだい」
パパさんは無言で、居間に座り、ビールを飲み始めたらしい。そのあとも、ママさんとおばあちゃんから色々言われたらしいが、パパさんは平然としていたらしい。当の妻が何も文句を言わず、笑っていたというのが不思議だ・・・。
パパさんはビールを飲んで気分が良くなったのか、ぼそっと呟いたという。
「大丈夫だよ。おばあちゃん、この子は勇者の子なんだから、一食ぐらい抜いたって平気なんだよ」と・・・。
船と言えば、昔、スカンジナビア号に妻と泊まったことがある。わざとじゃないと思うが、沈んじゃうなんて・・。うー・・何か、寂しいなぁー。あそこのナポリタンスパゲティーは絶品だったんだが!
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